In your arm

「ん・・ホレイショ?」

微睡みの中

温もりを感じ、だんだんと意識が覚醒へと向う。

「ただいま、アリス。」

頬と唇に軽くキスするホレイショに
アリスもそれに答える。

「お帰り、ホレイショ。・・・今何時?」
「まだ寝ていても平気な時間だ。」

アリスの髪を撫で
眠そうな顔をするホレイショ。

「寝てないの?」
「ん、いや・・・仮眠は・・。」
「嘘付いちゃダメでしょ、チーフ。尋問しちゃうぞ?」

冗談半分にそういうアリスに
ホレイショは苦笑し、降参のポーズをとった。

「忙しいのは分かるけど、食事と睡眠だけはちゃんと取んないとダメだよ。」

「ああ、分かった。これからは気をつける。」

約束をしたホレイショに
アリスはにっこり笑い、自分の横をポンポンと叩いた。

「いま気をつけるって言ったでしょ?一緒に寝よ。」
「・・・そうだな。」
諦めた様に苦笑し、ホレイショはベッドの中へと潜り込んだ。


隣に来たホレイショの顔を

アリスは、じっと見つめた。


「どうした?」

視線に気づき
首を傾げながら微笑むホレイショを
アリスは心配そうに見やった。


「何かあった?」

アリスの言葉に、ホレイショは目を見開いた。

「何故、そう思う?」

驚いたように聞くホレイショに
アリスはくすりと笑った。


「何となく、ね。」

そう言い
頬を撫でるアリスの手に自分の手を重ね、ホレイショは目を伏せた。

「・・・・恩師が、死んだんだ。爆弾処理に失敗して・・。」


悲しみを耐えるように顔を歪めるホレイショを

アリスは優しく抱きしめた。



「人ってね。こうすると安心するんだって。
 だから抑えなくてもいいんだよ。ちゃんと受け止めるから。」



今はまだ悲しみに覆われていてもいいよ

いつかは乗り越えなければならないから

だから今は泣いてもいいんだよ



背中を撫でると

ホレイショはアリスの胸に顔を埋めた。


悲しみを流すかのように涙が溢れる。

「・・・・ありがとう、アリス。」


アリスの腕の中で鼓動と温もりを感じながら

ホレイショは眠りへと落ちていった。




「おやすみ、ホレイショ。」

「いい夢を。」そう呟き

瞼に唇を落とし、自分も眠りへと付いた。





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