「きゃははは〜っ♪」
ウィリー・ウォンカさんの大きな部屋に行くと、工場長はお昼寝中。
きっと疲れてるんだね。
だから、起こすことはなかった。
だから、彼が愛用してる帽子とステッキを拝借してみた。
・・・え? "だから" の意味が解らない?
まぁそこは置いといて、ね?
「うわぁ〜凄い!!」
ウォンカさんの部屋をそーっと出て、足取りを軽くしてステッキを振っていた。
頭の上にはいつもの帽子。
なんだかウォンカさんになったみたーい♪
「チャーリーに見せてこよーっと♪」
私はスキップをしながらチャーリーの家に向かった。
ふふふ、いつ気付くかな?
いつも持ってたものだもんね、すぐ気付くはず。
見つけられたら返すつもりだけど・・・この工場は大きい。
探してたら何ヶ月かかるやら?
それでも見つからなかったらどうするんだろう・・・あー楽しくなってきた!!
私の足取りはもっと軽くなっていった。
途中、ウンパ・ルンパたちに遭遇!2・3人が私のほうを見てる。
きっと彼ら (彼女ら?) はヘアークリームの様子を見に行ってるんだろうなぁ。
ジーッと見てるから、ニコッと微笑んで問いかけてみた。
「どーぉ?似合う??」
するとウンパ・ルンパたちは首を振った。
・・・確かに、一番似合うのはウィリー・ウォンカさんだわな。
うんうんと認めたんだけど、一つ忠告。
「ウォンカさんには言っちゃダメだからね」
口元に人差し指を当てて、言っておく。
するとウンパ・ルンパたちはバッ!と手をクロスさせたかと思うと、その手を下ろして整列した。
これは肯定してくれた証よね。
にっこり微笑んで、再び歩き出す。
・・・ウンパ・ルンパたちが言ってることが解るようになるなんて、私も成長したなぁ!
心の底で嬉しがっていたのは内緒ね。
そして、いつもの "チョコレートの滝" へとやってきた私。
いつしか歩き方もいつものウォンカさんっぽくなっちゃうや!
このステッキを振ってると、確かにアイデアが浮かび上がってきそう!!
ウォンカさんの気分を味わいながら歩いてると、向こうからチャーリーが歩いてきてるのが見えた。
「チャーリー見てみてっ!!!」
チャーリーは怪訝な面持ちで見てたけど、途端に笑顔になってくれた。
「、それどうしたの?」
「ウォンカさんの部屋から拝借してきた!だってお昼寝してたんだよ?」
まだお昼なのに寝ちゃうなんて、どれだけ疲れてんだか!
・・・さっきと言ってることが違う?まぁ〜いいじゃない♪
チャーリーは 「えっ!」 と少し不安そうな表情を見せた。
「・・・、それウォンカさんがいつも持ってるやつでしょ?困ってるんじゃない?」
「いーのいーの!!それよりどぉ??」
くるっと回って、軽くポーズを決めてみた。
チャーリーはいいのかなぁと思いつつも、笑ってくれてるみたい。
「似合ってるけど、一番はウォンカさんだよね」
「うん、それは仕方ないのよねぇ。」
・・・と、ほのぼのと話してたいんだけど、私の脳裏に閃いたアイデアが湧き立たせてしまった。
「そーだ!!ノエルさんに見せてこよーっ!!」
「えっ、ノエルさん!?」
「うん!!」
さすがのチャーリーも顔をしかめてしまった。
彼の笑顔が可愛いのになぁ〜・・・
「ノエルさんって、工場の外でしょ?いくら日でもそれは怒られると思うけど・・・」
チャーリーの表情が心配げなものに変わってる。
でも・・・と、私の疑問が続く。
「ウォンカさんが怒るところ、見たことある?」
「え?それはないけど・・・」
「じゃー大丈夫!!」
踵を返し、さぁ工場外へ!!
意気揚々に部屋を出る私の後姿を見ながら、チャーリーは 「大丈夫かなぁ・・・」
なんて呟いたみたい。
工場内でもウォンカさんの気分が楽しめたけど、なんか物足りない。
だって見せる人があまりいないんだもん。それはつまんない!
なので、私はこれから工場の外へ出てみることに!!
ウォンカさんの帽子とステッキ、私が今日着てるシフォンスカートとかとは合わないけどそれは置いといて。
そーっと端にあるドアを抜けて、街中へ繰り出した!
「ふふ、今頃ウォンカさん探しまくってるかなー♪」
なんて意地悪なことを言いながら、私は陽気にステッキを振りながら歩く。
通り過ぎる人や、周りで雑談してる人たちは全員私のほうを見てるみたい。
凄く視線を感じるけど、きっとそれは服装と帽子・ステッキがミスマッチだからよね。
やっぱ外の方が楽しいっ♪
でもだれもウォンカさんの物だって気づいてないみたい。
「・・・やっぱウォンカさんを知ってる人じゃないと面白くないなぁ」
なんて思いながら、きょろきょろと辺りを見回してみる。
誰も知ってる人は居ないみたい。
・・・確かに、ウォンカさんは滅多に外に出ないもんね。
でも見たことくらいはあるだろうに。
ジョーじいちゃんくらい熱狂的なファンの人しかわからないのかしら?
今の私には、“普通の人は知ってても他人に話しかけないだろう”とは思ってなかったみたい。
やっぱこの帽子を被ってステッキを振ってたら、思考がおかしくなるのかな?
・・・それは言いすぎだけど、変わった考え方が生まれるのかなぁ。
「うーん・・・やっぱこの帽子はウォンカさんだから似合うのかなぁ」
帽子を取り、ステッキに掛けてジーッと見てみる。
傍から見たら変な人?でも私は本気だったんだってば。
「ステッキは可愛いのになぁ・・・」
なんて思ったそのとき、上空でとてつもない大きな音が聴こえてきた。
ゴォォォ・・・と、ロケットが発射されて自分の頭上に留まってるような、そんな轟音が響いてる。
・・・・来たか、とうとう。
私はもう一度笑顔を作った。
勢いよく、私の隣に下りてきたのは大きなガラス製の箱。
下からロケットのような噴射口もある・・・そう、飛ぶエレベータ。
中も丸見え。そこには帽子とステッキを持ってないウォンカさんがいた。
「、やーっと見つけた!」
「あちゃあ、見つかっちゃった」
なんて言ってるけど、心のどこかではそろそろ見つけて欲しかったのよね。
だってこの帽子とステッキを持ってないウォンカさんを見たら、なんか違和感があるんだもん。
やっぱこの帽子とステッキはウォンカさんが持ってなくちゃね。
エレベータを出て、私の前にやってきた。
ウォンカさんは微笑んではいるようだけど、少し困った表情をして言った。
「、帽子とステッキを返してくれないかな?」
もちろん、見つかったら返す約束で借りてたもん。
それに私が持つよりウォンカさんが持った方がしっくり来るもんね。
・・・でも、此処で返したら面白くないじゃない?
「えー、どうしようかなぁ」
なんて笑顔で答えてあげる。
するとますます困ったような表情をした。
「・・・じゃあ、今度私のためにお菓子を作ってください」
そしたら返してあげます。
そう言ったら、ウォンカさんは少し考えたフリをして、頷いた。
「それはいい考えだ!僕も一度をイメージしたお菓子を作ってみたいと思ってたんだ!」
「じゃあ交渉成立ね♪」
そう言って、帽子とステッキを渡してあげる。
彼は嬉しそうに二つを見つめて、それから帽子を被り、いつものようにステッキを振った。
「・・・やっぱウォンカさん、似合いますね」
「そうかい?そりゃ嬉しいね!」
いつも以上の笑顔向けられたら、私も笑顔を返さなくちゃならないじゃない。
公衆の面前というのも忘れて、私たちは微笑み合ってたりして。
「じゃあ工場に帰ろう!」
ウォンカさんの言葉に、私は頷いてあげる。
「そうですね・・・あ」
ガンッ!!
軽快とは言い難い音が響き、ウォンカさんは怯んでしまった。
「・・・前、エレベータですよ。」
「またやってしまったね!ハハッ!!」
そういいながら、エレベータに乗り込むウォンカさん。
・・・そういえばこの人、いつも頭ぶつけてるよね。
なんて変な考え事をしてたんだけど・・・ふと、思いついたことが。
「・・・ウォンカさん、このエレベータって普段は何処に置いてるんですか?」
「ん?それは僕の部屋だよ」
「・・・ふーん・・・?」
新たな玩具を発見したあとの私は・・・想像できるでしょ?
author's comment...
ちょっといつもと違って子供っぽいちゃんでしたね。
いや〜でも書いてて思ったんですが、やっぱは子供化しちゃいけませんでした。
だってウォンカさんが子供でしょ?チャーリーも子供でしょ?
ちゃんまで子供になったら、誰が突っ込んだりするのさぁっ!!
やっぱ大人が一人は必要だなぁなんて思った今日この頃・・・。
お茶目な部分もあるのだな、と受け止めて置いてください(笑)
ちなみに今回の玩具は帽子とステッキ、次回はエレベータ?(次回はないだろうけど)