アプリコットカラーだけど、味は茶色いチョコケーキ。
やっぱりウォンカさんって凄い!私の髪の色を忠実に表現してくれてる。
ケーキなのに、中がキラキラ輝いている。
おいしそうと言うより、食べるのがもったいないほど綺麗だった。
何処か、心が安らいでいく・・・これが私のイメージなんだ。
「! !!」
連呼された声に答えるべく、私は2階の窓を開けて返事をした。
「はーい?なんですかウォンカさん!」
もう彼は玄関前にいたのか、上を見上げて叫んでくれた。
表情はとても明るく、嬉しそうに思える。
「! 下りてきて!!」
「はいはい」
今読書中なんだけどなぁ・・・なんて思いながらも、私は階段を下りてあげる。
結局のところ、読書よりもウォンカさんを選んだわけよね。
まぁそれは当然のこと。
私は今、この可笑しなショコラティエに夢中なの。
「どうしたんですか?ウォンカさん」
ガチャッとドアを開けると、見えるのは原色でいっぱいの草原・・・と、ワインレッドのウォンカさん。
満面の笑顔をしてる辺り、何かいいアイデアか商品が出来たか。
どっちにしても、私も笑顔になることであることに変わりはない。
「!見て欲しいものがあるんだ!!」
よく見ると、ウォンカさんはステッキを抱えて何か箱を持っている。
何か商品が出来たのかな。
どんなんだろう・・・楽しみになってきた!
「じゃああっちで見せてください!」
「いいとも!!」
ウォンカさんの後を付いていき、赤白のグルグルキャンディが生ってる木の近くに座る。
隣に座ったウォンカさんは、ウキウキしながら箱を両手で持ってる。
「いくよ!ジャーン!!」
ジャーンなんて言う柄だったんだ・・・なんて思いながらも、開かれた箱の中身を見てみた。
「・・・・わぁっ・・・すごーいっ!!!」
箱の中にあったのは、半円のケーキ。
可愛い透明のアプリコットカラーで、中がキラキラ輝いてる。
たった半円のケーキなのに、外見のデコレーションもあるせいか、とても綺麗に感じる。
そう、ケーキの印象は "綺麗" 意外に存在していないようだ。
「これ、ウォンカさんが作ったの?」
「勿論さ!前にをイメージしたケーキを作る約束をしたからね」
自慢気なのに、何処か優しげな返答。
天才ショコラティエは、私の心も掴んで離さないみたい。
「どう?のイメージぴったりでしょ!」
目を輝かせて言うウォンカさんに、なんて返答したらいいかわからない。
だって私こんなに綺麗じゃないし・・・ね。
「思った以上のイメージでした・・・本当に吃驚してるわ」
生のリアクションなんて滅多にしないのに(嘘)、こんなときにやってしまうなんて。
「ジャーン!食器とフォークも持ってきたんだ!食べてみて!!」
「・・・え、食べるのもったいないよ!」
だって、こんなに綺麗に輝いてるケーキを食べるなんて、絶品のチョコレートを川に捨てるようなものよ。
でもウォンカさんは嬉しいことを言ってくれた。
「いつだって作ってあげよう!が望むならね」
・・・ちょっと・・・かなり、嬉しかった。
そう言ってもらえるなら、と食器とフォークを持ってそーっとアプリコットカラーのケーキに刺す。
もったいないなぁと思いつつも、そっと掬って食器の上に置く。
小さくなっても、キラキラしてる。
一体どういう製造方法なんだろう・・・でも、美味しそう!
そっと口に入れてみた。
入れた途端、口内に広がるのは・・・とても優しい味。
チョコレートの甘さと、苺の甘酸っぱさ。
それからキラキラの元なのかな?その甘さも混ざってとても美味しい!
今まで食べたケーキの中で、一番美味しかった・・・!!
あ、ウォンカさんが味を聞きたそうに身を乗り出してる。
「どう?美味しい!?」
「・・・めちゃくちゃ・・・美味しい〜〜〜っ!!!」
これ以上ないってくらい!!
どう表現していいのか解らないけど、あえて表現するなら味も見た目も“綺麗”なの。
ウォンカさん以外の人は絶対作れないと思った。
「美味しい〜〜〜っ!!ん〜〜〜〜!!!」
さっきまでもったいないとか言ってた私は何処へやら?
パクパクと食べてはほっぺを抑えながら感動してる。
・・・え?ゲンキンだって?
でも食べてみたら誰だって止まらないってば!
本当に甘くとろけるようで美味しいっ♪
「・・・・ん?」
パクパク食べてた私は、ふとウォンカさんのほうを見た。
「ウォンカさん?なんでそんなじっと見てるんです?」
はっ!!まさか欲があるとか食い意地がはってるとか!?
返答をドキドキしながら、でもフォークを口に運びながら待ってると、意外な一言が。
「フアフアしてる。」
「・・・・え?フア・・・?」
「そうか、フアフア!!」
ポンッと手を叩かれても、私には何が何やら??
フアフアって、どういうイメージなわけ?
呆然としてたら、ウォンカさんは今度はにっこり微笑んでる。
「、甘ーい?」
「・・・ん?うん、甘ーいよ」
そう言うと、ウォンカさんの顔が今日一番綻ぶ。
嬉しかったみたい。
そう思うと、私も嬉しくなってきた。
フォークで一掬いして、彼の口元に差し出す。
「ウォンカさんも食べましょ?一人で食べるより絶対美味しいよ!」
ウォンカさんはというと、きょとんと不思議そうな表情をしてたけど、フォークをパクッとくわえた。
さっきまで私が食べてたケーキを食べて、にっこりと優しい笑みを浮かべてくれた。
「・・・それはそうとウォンカさん、このケーキの名前はあるんですか?」
ふと問いかけてみると、決まってなかったのかウォンカさんはきょとんとして首を振った。
「の名前にしようと思ってたんだけど?」
「それじゃ面白くないですってば」
もっと可愛らしく綺麗な名前・・・と、アプリコットカラーのケーキをじっと見つめる。
・・・といっても、半球だったケーキは半分ほどしか残ってない。
でも中はどうやって作ってるのか、綺麗な光が途絶えることがなかった。
・・・まるで、永遠に続いてるみたい。・・・永遠?
「そーだっ!!“Lover”ってどう?“永遠の恋人”!!」
ウォンカさんは目を丸くしてたけど、アプリコットカラーのケーキを見ながら呟いてる。
「・・・Lover・・・いいねっ!」
「でしょ!?決まりっ♪」
そういいながら、もう一口食べる。
キラキラしてるのは私のイメージじゃなくて、恋人同士のイメージの方がぴったりよね。
とろける甘さを感じながら、隣に居たウォンカさんに微笑みかけた。
author's comment...
早くもちゃんのイメージケーキが出来上がりました。
私のイメージは“キラキラ”と“甘い”ですが、皆様はいかがです?
“Lover”というお題は、ケーキの名前で使いましたが・・・二人の関係にも言えるかもしれません。
だってこの場面を後ろから見てたらどう思います?
チャーリーなら「仲いいなぁ」くらいかもしれませんが、私なら「熱いなぁ〜♪」です(笑)
ウォンカさんの口調が相変わらずわからない中、彼の性格もわからなくなってきました。
・・・ふ、フアフア?彼から見たちゃんのイメージなのでしょうかね。