I Over sleep
「・・・しまった」
 現時刻は午後10時37分。
 ちなみに今日は午後9時からの勤務だったわけで、1時間37分立った今・・・私はベッドの中にいる。
 仕事から帰って ―残業を重ねて帰宅したのは昼3時― すぐ寝たはずなのになぁ。
 とりあえず急いでベッドから起き上がり、即行で準備をすることにした。

「でもチーフ電話してきてない・・・まさか気付いてない!?」
 だったらいいのに、という願望が殆どなんだけど、そう思うことにした。
 ということはますます早くCSIに向かわなくちゃいけないわねぇ。
「呑気に髪梳いてる場合じゃない!!」
 ・・・でもブラシで梳くのを止めた途端右側の髪が跳ね上がる。くそぉ直したくなる!!
 とりあえず根元から水で濡らしてブローをしてやった。
 結局髪の毛に7分つぎ込んでしまった。
「次は服よね!」
 すぐさまクローゼットを開き、パパッと素早く取り出した。
 ダークブラウンのプルオーバーにブラウンのツイードスカート、あと黒のトレンチコート。
 着替えた私は軽く化粧をし、リビングで携帯を見る・・・あ。
「チーフの着信履歴」
 お、恐ろしい!!
 どうしよう掛け直したくない。でも出なかったらチーフの怒りに油を注ぐことになるよね。
 恐る恐る耳に近づけた私は、ゆっくり発信ボタンを押した。


 3回呼び出し音が鳴ると見知った ―と言っても恐ろしい― チーフの声が聴こえた。
『ホレイショだ』
「・・・お、おはようございます・・・」
『おそよう。今起きたのか?』


 チーフの声色って判らない。
 今怒ってるのか喜んでるのか ―喜んでは無いだろうけど― 声だけじゃ判別できない。
 いつも無心なのかな?それも怖いけど!!


「いえ、起きたのはちょっと前で・・・準備してました」
『そうか』

 チーフはそう言うと少し黙った。
 やっぱ嘘ついて「起きてたんですけど用事があったんです」と言えば良かったかなぁ。
 まぁ、バレた時怖いから小心者な私はそんな事言えないけど。
 ・・・あれ?エンジンの音が聴こえる。
 どうやら移動中みたい。
「チーフ?もしかして怒ってます?」
 何も言ってくれないのは新手の懲らしめ方かと思った私は恐る恐る訊いてみた。
『あぁ、怒ってるぞ』
「やっぱりですか。本当にごめんなさい・・・」
 謝っても許してくれるかどうかわかんないけど、悪いことをしたなら謝らなくてはいけない。
 教わったばかりの子供のような謝り方だったけど、誠意が伝わって欲しかった。


『これ以上遅れられると困るんだ』
「う・・・今すぐ出ます」
『迎えに行くよ』
「え?」
 今、迎えに来てくれるって行った!?
「いいんですか!?」
『あぁ。自慢のSUVで迎えに行こう』
「SUVって、科学捜査班に支給されてる車でしょ?」
 思わず笑ってしまったけど、チーフも笑ってくれた。
 どうやら寝坊したことは水に流してくれるみたい。
 やっぱりチーフは良い上司ね。

『あと5分もすれば着くぞ』
「はい!準備してます!!」

 電話を掛けた時と違い、安心した笑顔で電話を切ることが出来た。
「・・・・・・」
 残り5分。
 もうちょっと化粧しとこうかな。



 トレンチコートを着た私は、再び寝室に戻った。



■ author's comment...

  拍手お礼ものなので、名前変換がありませんが・・・物足りないですね、やっぱり。
  書き直そうかと思ったんですが、まあ書き直したら長くなって拍手お礼どころじゃなくなるなあと思って・・・。
  えーと・・・あの・・・ごめんなさい(汗)

 date.06---- Written by Lana Canna


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